最近テレビを見ていると「痩せ菌」、「デブ菌」と良く聞くんですが、本当は良くわからないという人、結構いるようです。
あなたはご存じですか?
うんうん、そうなんですよ、判らなくて当然。
実は正式にはそんな菌は存在しません。
存在はしないのですが、そう呼ばれている菌や、その菌を増やすカギは、ずっと昔から馴染みの深いあの食べ物と深い関係があったんです。
- 痩せ菌とデブ菌の正体が判る。
- 痩せ菌とデブ菌の効果が判る。
- 痩せ菌の増やし方が判る。
- デブ菌の減らし方が判る。


って、オイ! バイキンマンの仲間みたいに呼ぶなー!!

いくらたいぞうちゃんが太ってるからって、デブき、プーw

ちょっと悲しいんだけど・・・(T_T)


痩せ菌とデブ菌の正体

2018年の人気健康番組で紹介されてから、マスメディアでも「痩せ菌」と「デブ菌」という言葉を良く聞くようになりました。
名前からしても「痩せる効果のある菌、太る原因になる菌かな?」と想像できますが、あなたの健康にも体型にも大きく関わっている腸内細菌のことをどれだけご存じですか?
この痩せ菌、デブ菌の由来は、2006年のワシントン大学のジェフリー・ゴードン博士らの研究成果に由来しており、世界的にも権威のある科学雑誌「Science(サイエンス)」に掲載された内容は、太っている人の腸内フローラは脂肪を貯めやすく、痩せている人の腸内環境とは異なっているということでした。
学術的には痩せ菌、デブ菌という名称の菌はおらず、正式な学名は痩せ菌が「バクテロイデス門細菌」、デブ菌が「フィルミクテス門細菌」のことを指します。
※以降、バクテロイデス門細菌を「痩せ菌」、フィルミクテス門細菌を「デブ菌」として説明していきます。
腸内フローラが痩せるカギ

痩せ菌、デブ菌と共によく耳にするようになった「腸内フローラ」は腸内に生息する細菌の集団、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)のことで、腸内全体で約100兆個もの細菌が存在していることから、「フローラ⇒お花畑」になぞらえています。
100兆個もの菌は大きく「善玉菌」、「悪玉菌」、「日和見菌(ひよりみきん)」の3つに分類され、その理想的な割合は善玉菌20%、悪玉菌10%、日和見菌70%です。
痩せ菌・デブ菌を正しく理解するためにも、腸内細菌の基本を覚えておきましょう。
「善玉菌」
善玉菌の代表的なものは「乳酸菌」で、ヨーグルトやチーズなどの動物性乳製品や、漬物やキムチなどの発酵食品に含まれている植物性乳酸菌があります。
乳酸菌は食物を発酵させることで腐りにくくして長期保存ができるようにするだけでなく、人の体内に摂り入れられると、もともと腸内に棲んでいる乳酸菌やビフィズス菌を増やして、有害な菌を繁殖を抑え、整調作用や免疫力の向上、アレルギーの改善効果をもたらします。
ただし、乳酸菌は加齢によって少しずつ減っていく他、食生活の乱れや喫煙、過度の飲酒、ストレスなどが重なると腸内の悪玉菌が優勢になるため、毎日のように摂り入れる習慣が必要になります。
「悪玉菌」
名前からして悪そうなこの菌は、実は普段はおとなしい菌で常在菌として、もともと体のなかにも棲んでおり、異常繁殖すると人の体に害を与えます。
腸内の悪玉菌として馴染みがあるのが大腸菌や腸球菌ですが、これらの菌は食べ物として摂り入れたタンパク質やアミノ酸を分解し腐敗させてしまいます。
つまり、悪玉菌が増えると体のなかで腐敗物質がたくさん作られてしまい、下痢や便秘、肌荒れ、体臭の要因に、さらには糖尿病や高血圧、がんを引き起こすリスクも高くなります。
悪玉菌は肉食中心の食生活や運動不足が引き金となって増えるますが、異常増殖さえしなければ善玉菌を活性化させる役割も担っており、まったくないと逆に弊害をもたらすことにもつながることも判っています。
「日和見菌」
腸内細菌のおよそ70%を占めているのが日和見菌でその種類は多く、すべては解明されていません。
その中でも早くから存在が知られていたのが、痩せ菌の「バクテロイデス」やデブ菌の「フィルミクテス」、嫌気性連鎖球菌(けんきせいれんさきゅうきん)です。
日和見菌の代表選手であるバクテロイデスの特長は「短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)」をつくり出すことで、腸を活発にしたり、水分やミネラルの吸収を高めます。また、近年の研究では筋肉や肝臓、腎臓なども活性化することで脂肪の代謝を促進することが期待されています。
一方、フィルミクテスはバクテロイデスのライバル的な存在で、一方が増えるともう一方は減るという関係性を持っています。


痩せ菌とデブ菌の効果

痩せ菌(バクテロイデス)は善玉菌寄りの日和見菌で、この菌がつくり出す短鎖脂肪酸は先ほどの効果の他にも肥満を防止する働きがあることが判ってきました。
短鎖脂肪酸は血液に吸収されて全身に運ばれると、脂肪細胞がそれ以上は栄養分を摂ろうとしないように作用します。
また、近年ではバクテロイデスの仲間である「クリステンセネラセエ」という菌が確認され、この菌がBMIの低い人の腸に多くみられ、痩せ菌として肥満を抑える効果が期待されています。
一方でデブ菌(フィルミクテス)は、わずかな食べ物から多くのエネルギーをつくり出し、余ったエネルギーを脂肪として蓄えるやっかいな性質を持っていて、実際に太った人の腸内に多くいることが確認されています。
あなたの腸内環境は?
繰り返しますが、腸内フローラの理想的な割合は善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7です。
人の健康状態を維持するために、善玉菌と悪玉菌の比率を見ていくことは重要ですが、実は腸内細菌の7割は日和見菌です。
日和見菌は面白いもので、善玉菌と悪玉菌の活性に大きく影響し、善玉菌が優勢なときは善玉菌寄りに、悪玉菌が優勢な時は悪玉菌寄りに作用する性質を持っています。
痩せ菌とデブ菌が含まれる日和見菌は善玉菌や悪玉菌のように簡単には増やしたり減らしたりすることが難しいのですが、善玉菌を増やすことで日和見菌を善玉菌寄りにすることは容易です。
痩せ菌が有利に活動できるような腸内環境を整えることはダイエットにとって有利となります。
もし自分の腸内環境(痩せ菌レベル)を知りたければ、一般的な検診などでは調べてくれませんが、専門機関や専用のツールを使って調べることができるので、関心があれば試してみると良いでしょう。(値段は安いとは言えないので関心がある方だけ見てください)
痩せ菌を増やす方法
先ほども説明したように、痩せ菌とデブ菌が属している日和見菌は、善玉菌と悪玉菌の増減によってどちらに強く作用するかを決めるという気まぐれな菌です。
手っ取り早く痩せ菌を増やすために必要なことは、善玉菌を増やすことです。
では善玉菌を増やすにはどうしたらよいのでしょう?
詳しく説明していきます。
食事を見直す

善玉菌の代表格はあなたも良くご存じの乳酸菌です。
その種類は何百種類もあり、ヨーグルトやチーズなどの乳製品から摂れる動物性乳酸菌とキムチや納豆、漬物などの発酵食品に含まれる植物性乳酸菌があります。
普段からヨーグルトや発酵食品をしっかり摂れているなら、恐らく腸内環境はバランス良く保たれている可能性が高いはずです。
しかし下記のようなケースに当てはまる場合、腸内環境が乱れている可能性が高く、悪玉菌が優勢になっているかもしれません。つまり太りやすい状況を生み出しているのです。
- ここ2~3日排便がない。
- 排便後もすっきりしない。
- ウサギの糞ようなコロコロとした固い便が出る。
- 便が黒っぽい。
- 下痢気味。
- 便の臭いがキツイ。
- おならが臭い。
- 肌荒れや吹き出ものが多い。

- 野菜をあまり摂らずに肉食が中心になっていないか?
- 朝食を抜くことが多くないか?
- インスタント食品やファーストフードを摂ることが多くないか?
- 水分はこまめに摂っているか?
- 生活が不規則になっていないか?
- 運度不足ではないか?


食生活の乱れだけでなく、運動不足、ストレスなどによっても悪玉菌が増えて腸内環境が悪化する要因になってしまうので注意が必要です。
善玉菌を増やす食品を摂る

善玉菌を増やす方法は意外に簡単で、キーワードは3つです。
- 発酵食品を摂る。
- 食物繊維を摂る。
- オリゴ糖を摂る。
ヨーグルト、乳酸菌飲料、漬物、納豆、味噌・醤油、キムチ、ザワークラフト(キャベツの漬物)など。
漬物、納豆、ひじきやわかめなどの海藻類、もち麦などの雑穀類。
オリゴ糖は食物繊維と同様に善玉菌のエサになります。
善玉菌を増やして腸内環境を整えるには、発酵食品と善玉菌のエサになる食物繊維を積極的に摂ることです。
発酵食品には善玉菌が多く含まれているので、善玉菌を直接腸へ取り込めます。
実は古くから食しているお味噌汁をはじめとする和の朝食は効率よく発酵食品と食物繊維を摂れるものばかりです。

朝は味噌汁なんて作る時間ないし、もっぱらパン派だよ。これじゃぁ発酵食品は摂れないなぁ・・・。

毎朝の定番である納豆、お漬物、お味噌汁(みそやわかめ)、雑穀ご飯、これらは食物繊維も同時に摂れる優れた発酵食品でが、近年は朝食を食べない習慣やパン食へのシフトが進んでいます。
パン食などの洋風の朝食にするなら乳酸菌が豊富なヨーグルトは是非摂りたい食品です。
特に市販のヨーグルトは効率よく腸まで乳酸菌を届けるプロバイオティクス食品なので、自分にあった商品を続けることで腸内環境を整えることができます。
プロバイオティクスは「人体に良い影響を与える微生物(善玉菌)、またはそれらを含む食品のこと」と定義されています。
有益な作用として下痢や便秘を抑えるだけでなく、腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らすことで腸内環境を改善し、免疫力を向上させると考えられています。
プロバイオティクス食品としてはヨーグルトや乳酸菌飲料が数多く普及しており、ビフィズス菌やブルガリア菌入りのヨーグルトやインフルエンザ時期に人気のR-1、子どもから大人まで人気のあるヤクルトなどは誰もが知っている定番商品。
本来乳酸菌は胃酸に弱く99%が胃で死滅しますが、優れた商品の中には生きたまま腸まで届くように研究されたものが多数あり、有効的に活用することをおすすめします。

市販のプロバイオティクス食品を摂る際に覚えて欲しいことがいくつかあるよぉ。
いいことずくめの乳酸菌、多くの人が知らない事実があること知ってるかなぁ?
- 胃酸に弱い。(ほとんどの乳酸菌が胃で死滅してしまう)
- 生きたまま腸に届いても1週間程度しか生き残れない。
- 腸内環境は人それぞれで異なるため、自分にあった乳酸菌を見つけることが大切。
よくよく商品の宣伝文句をみると「生きたまま腸まで届く」と書いてあるのはココをウリにしたいからです。
死滅した菌は腸内でその他の善玉菌のエサとなりますので無駄ではありません。
もともと持っている善玉菌の量も違うことや加齢でも減っていきます。腸内のバランスが違うのである商品が誰にでも同じような効果を発揮するわけではありません。
つまり、自分にあった乳酸菌を見つける上でも、効果を期待する上でも「毎日のように継続して摂る必要がある」ということです。
ちなみに厚生労働省が運営する「e-ヘルスネット:腸内細胞と健康」でも善玉菌の増やし方を紹介しています。
サプリを上手に活用する

普段から発酵食品や食物繊維をバランス良くしっかり摂ることができれば良いのですが、忙しい毎日ですから1日3食をしっかり摂る(特に朝食)ことで精一杯ですよね。
ましてや食物繊維が多い野菜でも結構な量を摂らないと1日に必要な分が補えません。
私もそうですが、慌ててパンを口にくわえて出勤するという漫画やドラマのような生活を多くの方は過ごしています。
しかし、腸内環境を整える最大の要因は「食生活を整えること」なので、食生活の改善や足りない栄養をしっかり補うことが一番効率が良いわけです。
善玉菌を増やして痩せ菌の力を最大限活かすためにも、普段の食事で足りない栄養分はサプリメントも活用するのが賢いやり方ですから、サプリメントを必要以上に毛嫌いせずに上手に取り入れることを考えましょう。

運動で増やす

善玉菌と運動は一見無関係に思えますが、実は腸内環境へも大きく影響しています。
忙しい時に限ってストレスが増えたり運動不足になりがちですが、そういうときは腸の動きが低下しています。
一般的に女性に便秘が多い要因のひとつに、腸を動かす筋力が男性に比べて弱いことが挙げられます。
適度な運動は腸が刺激され、蠕動運動(ぜんどううんどう:腸が便を押し出す運動)が活性化する他、運動によって血流が盛んになり、体温が上がることで腸も温まり、善玉菌が増えます。
ハードな運動は必要がなく、女性ならウォーキングがおすすめです。
便移植で増やす?

残念ながら痩せ菌を移植する施術はまだ臨床試験の段階で実用化されていません。
そもそも痩せ菌が見つかったのは、アメリカにおける感染症腸炎の治療において、患者の娘の便(腸内細菌)を移植した際、腸炎が治っただけにとどまらず、これまで正常だった女性の体重が約1年半後には15kgも太ってしまったことがきっかけでした。
その理由は、肥満体質の娘の便移植(腸内細菌の移植)に起因していることが判ったのです。
これまでマウスによる実験でしか確認されなかった現象が人でも確認されたのは目からウロコの発見で、この事例から痩せ体質の人の便(腸内細菌)を移植したら痩せ体質になることが大いに期待できると現在進行形で研究が進められています。
デブ菌を減らす方法

デブ菌は悪玉菌が増えて腸内フローラが乱れてくると、悪玉菌の味方をするように腐敗物質と一緒に脂肪をため込んでいきます。
よって、腸内環境を整える、つまり善玉菌を増やすことが悪玉菌を減らし、デブ菌の活性を弱めることになります。
悪玉菌が増える最大の要因はやっぱり「食生活の乱れ」です。
特に肉類や動物性のタンパク質は悪玉菌の大好物、消化が悪いため胃で消化できなかったものは腸で腐敗便となって悪玉菌のエサになります。
肉食中心の食生活を送っているとあっという間に悪玉菌が増えて腸内フローラも乱れてしまいます。
ただ、肉類が悪いということではなく、動物性のタンパク質として魚を中心に摂る、野菜など食物繊維もしっかりバランス良く摂ることが大切なのです。
まとめ:痩せ菌を増やして痩せ体質を手に入れよう!
ダイエットに留まらず善玉菌を増やすことは人の健康を作る上で重要だという認識が医学界で強まっています。
その過程で見つかった痩せ菌、デブ菌ですが、今回の記事を読んで頂ければそれぞれの特性を見極めて何をすべきかを理解できたのではないかと思います。
最後にもう一度おさらいをしてお別れしましょう。

- 痩せ菌は善玉菌寄りの日和見菌の一種「バクテロイデス」のこと。
- デブ菌は悪玉菌寄りの日和見菌の一種「フィルミクテス」のこと。
- 痩せ菌を増やすには善玉菌を増やすことが必須、発酵食品と食物繊維が豊富な食品を積極的に摂る。
- 市販の乳酸菌飲料やヨーグルトは積極的に摂りたいが、自分にあった乳酸菌を継続しないと効果は得られない。
- 肉食中心の食生活は悪玉菌を増やしデブ菌が活性化するのでバランス良い食事に見直す。
- ストレスや運動不足を解消することは善玉菌を増やすことにもつながる。


・・・なんか悪玉菌とデブ菌に親近感がわいてくるのはなぜ(T_T)?





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